ずっと、ずーっと

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終わったわけじゃないから

彼はこう切り出した。冷たい目をしていた。「明日からはもう君へのラインは外すから」突然言われた彼女はあっけにとられた。「どうして?」「もう別れたんだから、いいでしょ」ふたりは三ヶ月前に別れていた。明確な理由があったわけでない。どちらからともなく、「ないな」と思ったから会わなくなった。ただ、ラインは続けていて、たまに送って簡単な近況報告くらいな言葉は交わしていた。彼女は、はっきりと嫌になったからと感じ...

言ったとおりじゃない

「言ったとおりじゃん」純奈が口をとんがらせながら言った。今日はやってないと純奈が言うのに、「やってると思うよ。平日じゃないんだから」そう言って強引に誘ったのは自分だからすこし気がひけた。観光客目当てのレストランではないが、観光地にあるから休日もやるはずだと思っていた。鎌倉から20分ほど歩いたところにあるそのレストランはじつは日曜日が定休日だった心の動揺をごまかすつもりではなかったけど、演技して冷静に...

行っこぅ

「行ってみようよ」「そうねえ」母はあまり乗る気じゃなさそうだった。昼食を食べたばかりで動くのがおっくうそうだった。近くに出来た新らしい本屋さんは、展示が変わっていて、気になっていたので、暇な今日行きたいと思いついた。じつは、人ごみが嫌いで、自動車の運転が苦手の母は、近場以外はあまり運転したくないのは分かっていた。「地元の物産のお店もあるんだって」「野菜とかも売っているのかしら」「売ってるよ、きっと...

ひとりきり

彼女はひとりきり。いまどき一人暮らしの老人は昨今珍しくも無い。彼女の住む団地の約2割くらいも一人暮らしの老人だってことだ。「誰にも干渉されずに気楽だわ」そう考えたのは一人暮らしになってから3年くらいだった。夫が死に、1年くらいは毎日のように息子から電話が来たが、10年も経つと一週間に一度くらいになる。「元気か。体は大丈夫か」くらいの会話しかない。孫のことを聞くこともない。電話は息子以外にはかかっても来...

言ったとうりじゃない!

」「言ったとおりじゃん」純奈が口をとんがらせながら言った。お目当てのレストランのドアには「定休日」という札が下げられていた。純奈は肩までかある黒いロングのヘアーが今時珍しい女子大生。私の唯一の友達。今日はやってないと純奈が言うのに、「やってると思うよ。平日じゃないんだから」観光地にありながら、観光客目当てのレストランではない。だが、休日もやるはずだと思っていた。鎌倉から20分ほど歩いたところにあるそ...