ずっと、ずーっと

善通寺の裏路地。渋い家が並んでいました。

高松駅から善通寺駅までの車内で、となりの席に座った女子高生がいきなり弁当を広げて食べだしのには驚きました。
お行儀が悪いなんて大人は思うのでしょうが、私は可愛いと思いました。ただ、まだ午前10時ころだったので、彼女は学校を早退したのではないか、それとも遅刻したのではないか、なぜ中途半端な時間に弁当を食べていたのだろうか、そのほうが心配になりました。

結納用品の専門店のようです。いまどき結納なんてするのでしょうか。

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往古警部補は、相棒の川戸の運転で国道を中心としたその日の受け持ち地区のパトロールに出発した。
年の暮れで車の量が多い。国道に出ると県道と交差する交差点に向かうまで渋滞していた。
「山岸組の抗争は年内で一区切りになりますか」
ハンドルを握りながら川戸は往古に意見を求めた。
「さぁ、県警本部はそうしてもらいたいだろうな。さもないと、正月もおちおち休んでられないからな。その余波はうちにも来るぞ」
「あー、嫌だ。よりによってこんな時期に殺し合いをしやがって」
「こっちの都合で動いてくれないのがマル暴だよ」
「本当にそうですよね、まあ警察官になった以上、盆も正月もあったもんじゃないってことは承知してますけどね」
「愚痴を吐くのは俺だけにしとけよ。他の奴にちくられるとまたポリ箱になるぞ」
ポリ箱とは派出所のことだ。
警察では一番下の勤務だとされている。
川戸は渋滞にはまってゆるゆるとしか動かない車内でうずうずしていた。
180センチ以上もあり、柔道で鍛えられた下半身は狭い運転席の下ではち切れそうそうになっていた。
「大捕り物がしてー」
「まあ、そのうち全身が痺れるようなヤマが起きるかもしれねえぞ」
往古は血気盛んな後輩を、自分の若いときにダブらせて、口元が緩んだ。
そのとき、警察無線から声が飛び出した。
「警ら各局、下梅原三丁目から通報あり、至近のものは現場に向かってください」
「警ら三号、現場に向かいますので住所願います」
往古は自分らの位置が現場に近いと判断してすぐに反応した。
通報の内容は、下着泥棒だった。
アパートに暮らす女子大生がベランダに干してあった下着を盗られているとのことだった。
「大捕り物だぞ」
「冗談は止めて下さいよ。下着泥棒じゃないですか」
「腐るな、しょーもないことでもそれから大きな事件になることもあるし」
通報者の住所は、国道から二本の路地を西に入った住宅街だった。
アパートはまだ築浅のきれいな建物だった。
通報者は21歳の女子大生。
部屋をノックすると、ジャージ姿の女子大生が出てきた。
「朝、洗濯物を取り込もうと思ってベランダに出ると、全部無くなってました」
「昨日取り込み忘れたんですか」
「昨日はバイトで遅くなったから、干して朝に取り込んであとは室内で干そうとおもったんです。それにこれは三度目なんです」
「じゃあ、これまでは警察には知らせなかったんですね」
「そうです、大事にするのも嫌だったから」
「ダメですよ、すぐに通報してもらわなくては。警察が来たということで犯人に抑止効果を与えることもありますから」
「はい、すいません」
「では盗まれたもののリストを書いてください。盗難届けという形で受付ます。今後、このあたりで不審な人物を見たり、後をつけられたり、とにかく不安に思うことがあればすぐに110番してください」
下着泥棒だけでは本署の窃盗犯専門の部署は動かない。
同じ地区で頻発するようなら本部でも担当捜査員を配置して本格的な捜査が動き出す。
そのことを通報者に言って、さらに通報を心がけるように諭して往古たちは現場を離れた。
警ら隊に事情を報告して、パトロールを続行した。
国道に戻ると、いつのまにか渋滞は解消し、車の流れはスムーズだった。
往古たちの二台前の車が往古の目に留まった。
黒い色のセダンだ。
中が見えないくらいのスモークシートがウインドガラスに張り、ひと目で怪しい筋の車と分かる。
半グレかも知れないが一応止めてみる。
往古は赤色灯を入れ、マイクを握った。
「二台前に車を止めるぞ」
「了解」
川戸は反対車線前方に車がいないことを確かめ、前の車を反対車線から追い抜き、二台前の車の後尾に付けた。
「前のレクサス脇に寄せて停まりなさい」
セダンは反応しない。
「脇に寄せて停まりなさい」
往古は再度警告した。
しかし、セダンのレクサス はスピードを緩めなかった。
「ヤロー、停まれよ」川戸が唸り声を上げた。
セダンは急に猛スピードで逃げようとしていた。
#3に続く。

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最近、想像を超える悲惨な事件が多くて、ニュースをみるたびに不愉快になります。福井市で起きた事件は元自衛官の若者が警官から拳銃を奪い、小学校へ侵入しようとして警備員を射殺したといった内容でした。拳銃を奪われた警察官も死亡しました。
もし学校の警備員さんが抵抗しなければ、子供たちが襲われていた可能性もありました。
その前には新幹線での無差別殺傷、新潟県での女児殺害事件、3ヶ月前には9人の女性と男性を殺してばらばらにした事件がありました。いつもこういう事件が起きると「社会が歪んでいる」とか言われますが、こうなると「社会全体が崩壊している」と感じています。社会が悪いのではなく、社会そのものが存在していないような気がします。


謝罪と事件の概要を説明する福井県警幹部。
ネット社会になり、個人主義が変な方向に向いているのが今の日本かなとも思います。自分の価値観でしか人を認めない。相容れない意見の人を認めないという傾向。
私が子供のころは、若い人はもっと柔軟性があったと思います。色んな意見を聞く耳は持っていたような気がします。
今は、ネットという狭い世界のなかで自分と同じような意見や感受性を持った人だけしか受け入れない。少しでも違うと排除しようと攻撃する。匿名性がネット社会の特性なので、言いたい放題攻撃し放題。社会の趨勢から外れた人は孤立し、絶望したまま家族だけの世界で凝り固まり、やがて息ができなくなるまで自分を追い詰めてしまい、爆発する。
人々は、己のメリット、デメリットでしか価値判断をしない。はみだした人の人格の崩壊に歯止めがかからない社会になってしまっていると思います。
「自分には関係ない」「自分には興味がない」ということで無視する。それでは社会は成り立ちません。
日本は普通に結婚して、子供を安心して育てられない社会ですかという問いに対し、過半数の若者が「そうではない」という答えをしたという記事を読みました。主要先進国では同傾向の質問に対して「そうでない」と答えた人の割合がもっとも高かったそうです。
そんな国が一流でしょうか。いやそうではない、一流もへったくれもない、自分たちが毎日楽しく暮らしていければそれでいい。それだけを考えている人たちばかりなのではないでしょうか。
福井県で起きた事件は、社会の裏側からもれ出てくる「叫び」のような気がしてなりません。

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いきなり現れた女性下着の店。ディスプレイが大胆過ぎます。

パリの中心街には重厚な建物が並んでいて、それを見て歩いているだけでも楽しいし、すぐに何百枚も写真を撮ってしまいます。


ファションの街、パリにはブティックが溢れています。それにしてもこの店はパーティードレス専門店でしょうか。それとも水商売の人専門なのでしょうか。

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12月8日午後9時55分
「人は一度は必ず死ぬ。俺は死のうとしているのだ」
往古巡査長は担架に乗せられていた。
腹に銃弾を打ち込まれていて、内臓を深く抉って体内に留まっている。
「新明和病院のICUに搬送」
救急隊員の叫ぶような声が聞こえていた。
薄れ行く意識のなかで往古巡査長は、自分を撃った男の顔を思い浮かべていた。
「あいつ・・・・」
12月8日午前9時4分
往古巡査長は、時間どうりの出社をしていた。
自動車警ら隊第二分隊分隊長の往古雅美巡査長は、いつも通りの朝を迎えていた。
警ら隊の部屋には、非番のものを除いてほぼ全員が揃っていた。
宮杉警ら隊長は、身長180センチの大男だったが、性格はいたって穏やかで隊員たちから慕われていた。
9時15分、宮杉隊長が立ち上がり朝礼が始まった。
「今週はまだ重大事案の発生は無く、比較的穏やかな日が続いているが、こんなときこそ気を引き締めて日々の任務に当たってもらいたい。いつ、いかなるときにも緊急事案が発生しても隊員が存分に各自の技量を発揮できるように各車は頑張ってもらいたい」と訓示を述べた。
往古と相棒の川戸巡査たちは、10時から管轄北部のパトロールに出発しなければならない。
前日の任務報告を見ながらこれから回る地区の様子を思い浮かべる。
国道は中部地区の中心部から近畿の大都市に向かう中間点にあるため、交通量が多く、そのなかには非合法組織の車両が頻繁に往来することでも、要警戒地区でもある。
往古もこの地区を巡回するときは、他の地区より緊張感が増す。
「最近、マル暴の幹部の殺しがありましたよね」
川戸は思い出すように口を開いた。
「あの組は近畿の本部の支店みたいなものだから関西からのお客さんが多く来ているようだな、とりあえず、マル暴と思ったら止めよう」
往古は押し殺すような声で言った。
「やりましょう。今週はひとりでもうちらで上げたいですね」
「相手も殺気だってるから気を張れよ」
「分かりました」
ふたりは自分たちのパトカーへ向かい、始業点検を始めた。
まず、無線の確認だ。
感度は良好か、スイッチ類に不具合は無いか、タイヤの空気圧は、エンジンをかけてみて、どこかに異音はないかなどを確認した。
「警ら3車、パトに出発します」
無線で警ら隊室に報告し、川戸は車を発進させた。
#2へ続く。

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築地の昼下がり、午前3時ころから人と物でごったがえす市場のひとときの休息。

魚市場につきものの野良猫が築地には少ないです。都会のど真ん中だからでしょうか。猫にとっては美味しそうな魚のくず。


青い空に浮かんだ飛行船。

確かに築地の建物の老朽化は激しい。限界でした。

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京都にはこれまで数え切れないくら行きました。ただ、写真はあまり残っていません。デジタル時代になってからは数回しか写真を撮っていないです。
学生時代によく行きました。じつは私は京都の大学に行きたかったのですが、幸せか不幸か大学の付属高校だったので、元来から勉強が嫌いだったので流されて東京の大学に進学しました。
後悔しましたね。さりとて勉強をしなおして再受験するほど努力家でもないので、京都に行くことでその思いを封印していたのでしょう。




今でも常に京都に行きたい、できれば住みたいと思うこともありますが、なかなか行けません。
知り合いの元大学教授に会いたいとも思いながら、なかなか行けないのがなんとももどかしい日々でもあります。

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「俺、お前のこと父親のような目でみているんだ」
11歳年上の男。
付き合って半年の男。
外見で判断したら「付き合えるはずがない」
でも付き合っている。
おいおい、ちょっと待ってよ。
口うるさい父親のことを思い出した・
いくら11歳年上だからって父親はないでしょ、と彼女は思った。
「別に説教するとかじゃなくてさ。心配なんだよ」
愛情じゃなくて、肉親のような心配だってこと。
「ずっと年下だからさ、子供に見えちゃうんだよね」
それを言うかい。
それは言って欲しくなかった。
見下されていると感じる。
じゃあ、やっぱり年相応の人と付き合おうかしら。
「あっ、ごめん。年上だからって上から目線じゃないから」
充分上からものを言ってるんですけど。
心配ってどういうことよ。
私のことが信用できないってこと。
「信用はしてるよ、もちろん」
だったら黙ってろよ。
あなたとは年上とか関係なく、会っていて自分が自然でいられるからっていうことに全然気づいていないよ、この人。
でもいちいち言い訳なんかしない。
どうせ私から離れるなんて出来ないんだから。
それが分かっている限り、私も別れないわよ。
彼女は心のなかでつぶやいた。

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戸田という場所は、東京方面から行くと、東名高速沼津インターを降りて、海岸線をしばらく走ってから伊豆修善寺道路で峠の上から急な坂を下り、やっと着きます。ですから東伊豆の熱海や伊東、稲取といった有名な観光地に比べるとやや行きにくいのですが、一度行くとまた行きたくなる港町です。

穏やかな入り江があり、のんびりするには良いところです。

温泉観光地でもなく、完全な港町でもなく、つまりなんでもない特徴のないところなのですが、それがまたいいんですね。

戸田の良いところをいろいろ考えていたのですが、ひとことで言うと、変に観光客にへつらわなところかなと思います。観光客目当てのものが少なく、何もないけど、寂れたようなところもない。不思議は魅力があります。


町の外れに小さな船の修理所がありました。

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