ずっと、ずーっと

古臭い町だよね












みなみは生まれてからこの町を離れたことはない。


大学も地元の公立大学に進んだ。


何より、親に負担をかけるのを避けたかったからだ。


しかし、親は違った感想を持っていることを知ったのは大学二年生になったころだった。


リビングで寛いでいると、突然父親が、


「お前は親孝行だけど、そんなに親に気遣っていると、いつか突然家を出てかれるんじゃないかと不安になる」


顔は笑っていたが、眼差しには心配という文字が浮かんでいた。


そんなこと初めて聞いたのでみなみは戸惑った。親を安心させるためだったのに、と思った。


率直な親だから、自分も本心で答えなければならないと考えていた。



「まだそこまで考えたことはないけど」



父親の顔は見れなかった。


事実、今働いている会社も地元にあるが、そろそろ飽きてきていることは間違いない。



「みなみは、もし好きな人が東京の人だったらどうする」


同僚の杏奈が聞いてきた。


杏奈は、東京出張所に勤務する先輩と遠距離恋愛してる。


「現実にならないと分からないわ。でも言えることは、この会社で付き合おうと思うような男はいないってことかな」


じゃあ、自分の恋愛はどうするんだ、と自問したが答えは出ない。


「親を置いていけない」


なんて人には言えない。



「私はもうこんな古臭い町にいたくないっていうのが本音かな」


女の相談なんて結論はもう自分のなかでは出ていて、相談した相手に相槌だけを求めることが多い。


「私もそう思うことはあるよ」


杏奈の口元が少し緩んだ気がした。








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