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ずっと、ずーっと

連続ミステリー 占い師殺人事件 ⑥  


















占い師が殺されてから二週間が過ぎようとしていた。


都内の高級ホテルでひとりの男が死体で発見された。

その男が持っていたパスポートにより、身元が判明した。

名前は、ぺー・ウォドン、韓国人、50歳、男性であった。

死因は青酸化合物による中毒死。飲みかけのビールのグラスからその薬物は検出された。


小山田は、昨日直当たりして犯人の臭いを嗅ぎ付けた建設会社社長夫人小畑侑子の身辺調査の準備を始めた。

「なんで怪しいと読んだんですか」

相棒の窪田が不思議そうな顔をしていた。

「それはなあ、長年の刑事の勘さ。こちらの質問に答えるときの目の動き、唇のかたち、顔全体の表情、指先の動き、どんな変化も見逃してはいけねえんだ」

小山田は当然だという表情をすると同時に、窪田を見下した。

「凄い参考になります」

「そうだろー、授業料もらいてーぐらいだよ」

「すいません」

「冗談たよ、馬鹿」

相棒の窪坂は尊敬の眼差しで小山田を見た。

後輩にこう言い切った以上は、小畑侑子がホンボシでなければ面子が立たない。

小山田は覚悟を決めた。

俺の刑事人生のすべてを賭けてやると。

小山田の話を聞いた刑事課の課長は、助っ人部隊を4人つけてくれた。

小山田を入れて三班が周辺捜査に動くことになった。


捜査開始から五日間が経った。

面白い情報が飛び込んできた。

建設会社が契約しているクリニックから得た情報によると、社長は大腸がんを患っており、余命数ヶ月ということだった。

実は、小山田たち会社に数回訪問した際に、社長にも話を聞いたことがあるが、異様に痩せており、顔色も悪かったのだ。そこで社長の健康に問題がないかどうか、他の刑事たちに調査を依頼していたのだ。

「もしかすると旦那のことがこの事件の動機じゃないでしょうか」小山田は捜査会議で発言した。

「もしそうなら任意で引っ張って吐かせればすむが、問題は実行犯だろ。それも吐かせるということになるとそう簡単ではないかも知れない」

監理官は渋い顔をした。

「もう少し社長夫人の身辺を洗って、共犯者の手がかりだけでも掴まないと引っ張っても空振りになる恐れがある」というのが捜査本部の上層部の方針が出た。


小山田たちは、小畑侑子の経歴から、過去に遡って、関係者からの話を聞く作業に入っていった。

小畑侑子は、東京都の生まれで、小学校から名門の私立に通うお嬢様で、大学のとき一年間アメリカに留学した経験がある。

その後、建築家である夫と知り合い結婚して今日に至っている。

彼女の経歴のなかで小山田の勘が働いたのはアメリカ留学であった。

外事部に頼んで留学した当時の日本人留学生の氏名と所在を確認してもらった。


その結果が届く前に、占い師捜査本部には別の事件の照会が来ていた。

都内で殺された韓国人の事件のことだった。その男の経歴から事件に何らかの関係があるのではないかという所轄からのものだった。


⑦に続く。






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