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連続ミステリー 占い師殺人事件 #7













都内で殺された男は韓国国籍のぺ・ウォンドン53歳だった。

身長が180センチ近くある大柄な男で、顔もいかつい。体には数箇所に刺青が入っていて、普通のサラリーマンとは思えなかった。

占い師殺人事件が起きる5日前に来日し、高級ホテルに泊まり、ホテルの従業員からの聴取によると、ぺは毎日出かけていたという。

職業は韓国からの情報によれば機械メーカーの個人ブローカーで、日本にも得意先があり、商談のための来日だったということは分かった。

その情報からは、表向きは普通のサラリーマンであったことがうかがえた。

小山田は、ぺ・ウォンドンの外見からくるものと、ごく普通のサラリーマンであったことの実質に違和感を感じていた。


日本での足取りは事件当日とその翌日の動きは分かっていない。

殺されたのは占い師事件が起きてから10日後のことだった。

所轄による捜査では、ぺ・ウォンドンの部屋に出入りする人物はホテルの従業員のほかはふたりだけだった。

ひとりは高級売春婦らしきロシア人の女。

そしてもうひとりは帽子を深く被った女性らしき人物だった。

口元の形やスタイルなどから日本人の可能性が高かった。

複数の防犯カメラにその女は捕らえられているが、顔が正面から分かる映像はなかった。

ただ、ぺ・ウォンドンの経歴から被疑者である建設会社社長夫人と同時期にアメリカに留学していたこと、そして同じ大学だったことが判明し、捜査は大きな転換点を迎えた。

さらに、彼には兵役経験があり、特殊部隊に所属していたことなどが分かった。


小山田たちは、ある女に面会するために都内のオフィスビルにいた。

社長夫人小畑侑子と同じ時期に留学し、同じ大学で親しくしていたという女性だ。

その女性は横屋真佐江という商社の役員をしている。

年齢は50歳を超えていると思われるが、実際に会ってみると、肌艶がよく、華やかな感じのする女性だった。

応接室に案内され、その女性と対峙した。

「お聞きしたいのは、ずばり香苗さんの男友達のことです」

横屋真佐江は表情を変えなかった。

相当に肝の据わった人物のようだった。

「人の過去をバラすようなことは心外なのですけど」

「殺人事件の捜査なんです。ご理解のうえご協力ください」

小山田は真佐江の顔をじっと見つめながら言葉を吐いた。

「仕方ありません。これは私の口からということは彼女には伏せてくださいますか」

「出来るだけご迷惑はかけません」

「彼女は韓流ドラマの大ファンでした。自分の部屋でいつも借りてきたビデオを見てました。同じ大学で、食堂で知り合ったようなんですけど、韓国からの留学生と親しくしているということは知っています。私と三人で大学から離れた街まで行って映画を見たり食事をしたりしていました」

「どんな男でしたか」

真佐江は深くため息をついた。

目の前にある紅茶を一口飲んだ。

「彼女に言わせると、韓流のスターに似ているということだったんですけど」

「男とおしゃべりになったことがあったんですか」

「ありますよ、それは。彼女は彼の部屋に入り浸っていましたしね」

「それは男と女の関係だったということですね」

「そういうことになりますね」

決定打だった。これで実行犯と小畑侑子との線が繋がった。

捜査会議でそのことを報告すると、刑事課長から社長夫人のさらなる身辺調査と、実行犯の疑いのある韓国人の捜査を人員を増やして実行するように指示がなされた。

韓国の警察に頼んで、ぺウォンドンの家の家宅捜査が行なわれた。

そこでは、小畑侑子からのものと思われる手紙が何通か発見された。

そして、ぺ・ウォンドンが最近たびたび来日していること、その足取りから社長夫人との密会の目撃者探しが始まっていた。

数日後、さらに決定的な事実が出てきた。

ぺ・ウォンドンの足取りを探るうち、来日したおりに必ず寄る韓国料理店があり、そこの店員による証言が得られた。

それによると、数が月前に小畑侑子とぺウォンドンが会っていたことが確認された。



その証言が取れたその日、小畑侑子に対し任意での事情聴取を実行されることが発令された。






八に続く。






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Category: ミステリー
Published on: Tue,  12 2017 10:25
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