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連続ミステリー 占い師殺人事件 #8
















被疑者小畑侑子に任意同行を求めるために捜査本部を出たのは、小山田刑事と相棒の窪坂刑事、警備部に所属する女性警官など6人だった。

車で一時間ほどかかる被疑者の自宅までの道は午前7時台というのに激しく渋滞していた。

「今日は混んでるな」

小山田が前方を見ながら舌打ちした。

「在宅確認はしているから心配ないですが」

相棒の窪坂は冷静だった。

先行して昨夜深夜から被疑者宅の前で張り込みをしている刑事たちから在宅の確認は送られてきている。



被疑者宅に着いたのは午後八時過ぎであった。

小山田は呼び鈴を押した。

家政婦が最初に出て、それから社長夫人である小畑侑子が出た。

声が震えているようだった。

「西世田谷署の小山田です。玄関を開けていただけますか」

小畑侑子は小山田たちの到着が事前に分かっていたかのような、完璧なメイクをしていた。

「占い師さんの殺人事件の件でお話を伺いたいので署までご同行していただけますか」

「分かりました」

落ち着いた声だった。

小畑侑子はまったく表情を変えなかった。

小山田はすんなり自白するのではないかと直感した。

捜査本部のある西世田谷警察署の入り口には多くの報道陣が待ち構えていた。

発表したわけではないのに、テレビも新聞も雑誌も集まっていた。

容疑者の逮捕が近いということは新聞社の警察担当から情報が伝わったのかも知れない。

被疑者の顔撮りをされないために裏口に大きなビニールシートで囲いを作って、そこに車のドアを着けて外部から被疑者の顔が見えないようにしていた。



取調べは、小山田が想像していた通りスムーズだった。

韓国人ぺウォンドンとの関係もすんなりと認め、彼に殺人を依頼したこと、彼は彼女に死ぬほど惚れていたので、彼女の要求にもすぐに応じた。

その後、捜査が自分に及びそうだと感じた彼女は、ホテルで彼に青酸カリ入りのビールを飲ませて殺害したことも自供した。

ただ、動機については激しく取り乱し、話を聞くのに骨が折れた。

やはり動機は彼女の夫のがんのことだった。

占い師を完全に信じていた彼女は家族のことをすべて占い師に話し、こと細かに相談していた。

息子の進学についても、無理して私立の中学に入れると将来失敗すると占い師に言われたとおり公立の中学に入れたら、いじめに会って一時期不登校になったこと。

そして、夫の健康についても、占い師は完全に健康体で、人間ドックなどにかかったら逆に健康を害することになると言われたこと。そして夫にがんが見つかり、それが進行がんで末期になっていたこと、そのすべてが動機だということを自供した。


占い師殺人事件は終焉を迎えた。捜査本部には本庁の捜査一課長まで来て捜査員の苦労をねぎらっていた。

「小山田さん、休暇を取るんですか」

「そうだな、しばらく家にも帰ってねえからな。お前はどうする」

「僕も明日は休めるかな」

「休め休め、またいつ事件が起きるか別れねーんだから」

「はい」そういうと小山田は目の前のコップに注がれたビールを一気に飲んでいた。


終わり。











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Category: ミステリー
Published on: Sat,  16 2017 10:33
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