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ずっと、ずーっと

ひとりきり  
















彼女はひとりきり。

いまどき一人暮らしの老人は昨今珍しくも無い。

彼女の住む団地の約2割くらいも一人暮らしの老人だってことだ。


「誰にも干渉されずに気楽だわ」


そう考えたのは一人暮らしになってから3年くらいだった。

夫が死に、1年くらいは毎日のように息子から電話が来たが、10年も経つと一週間に一度くらいになる。

「元気か。体は大丈夫か」

くらいの会話しかない。

孫のことを聞くこともない。


電話は息子以外にはかかっても来ない。

振り込め詐欺の電話も過去に何回かあったくらいで、最近はない。

ほとんど部屋から出ることもなくなった。

買い物にでかけるくらい。

そのときも店員と言葉をかわすことは少ない。

道で知り合いに会うこともめったにない。

だから、ひとことも発しない日常が1週間続くこともある。

宅急便は半年に一度くらいだ。

米を産地からネットで買っているので、それの配達で宅急便の人が来る。

会話をかわすこともない。

「都会なのに、私は無人島でくらしているみたい」

彼女は最近よく思う。

体はだめなところがないから、せめて息子に迷惑をかけてないだけがわたしの存在価値なんだと。

存在価値のある人間とは、働いて税金を払っている人だけなのだろう。

世間はそう考えているのであないかと彼女は考えている。

働きもしないのに、年金だけ貰って生きている。年金をもらっていないだけ、ホームレスの人のほうがよほど生きている価値があると思う。

じゃあ、どうするか。

自殺するのか、そんな勇気もない。病気になって死ぬのも怖い。いずれにしろ怖いんだ。

彼女はほとんど毎日のように「生きる価値のある人間」について考えていた。








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