ずっと、ずーっと

いい加減にしろ!







「またやったのか」


先輩の古賀が呆れたような顔をして言った。

緒方はたまに通勤途中の電車のなかで喧嘩をする。

相手は自分と同じサラリーマンだった。

その男は緒方より明らかに十歳は年上の管理職っぽい男だった。メガネの奥に嫌味な目が光っていた。

「ちゃんと立てよ」

嫌味な目をした男は緒方の顔を睨みながら言い捨てた。

何言ってんだよ。混んでるから体と体がぶつかることぐらいあるだろうと言おうと思ったが、違う言葉が出た。

「何、満員電車のなかで威張ってんだ」

男は、意外そうな顔を一瞬したが、また嫌味な目を向けてこう言った。

「あんたちゃんと学校でてんのか」

「あんたこそまともな教育を受けてないだろ。頭の悪そうな顔してるもんな」と相手の自尊心を傷つけ、あわよくば殴りかかってきたら正当防衛でぼこぼこにしてやろうとしたのだ。

そんなやりとりだった。

相手が駅に降りると緒方も降りて、相手の胸倉をつかんだ。

「殴るなら殴ってみろ」

「今度見かけたらただじゃすまさないぞ」

つくづく呆れる奴だとその話を聴いていた同期の古賀は思った。

「お前、そのうち警察沙汰になって逮捕されるぞ」

「そうなんだよな」

普段は温和で、怒ったところなんか見たこともこともないのにどうして電車のなかで揉め事を起こすのかわけが分からなかった。

「つまんないからやめとけ」

「そうですね」

緒方も分かっているのだが、いつも自分から仕掛けているわけじゃない。

「でもむかつく奴がいるんですよね」

「相手は頭の悪い奴なんだから、相手にしなければいいじゃないか」

それは分かってるんだけど、

と緒方は思っていた。

古賀は、この男はいずれ暴力事件を起こして会社を辞めることになるのではないかと思っていた。






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  1. 2017/08/13(日) 10:11:50|
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