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ずっと、ずーっと

連続ミステリー 往古警部補の終焉 最終回  










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往古が張り込みを開始したその日の夕方だった。

ひとりの男がアパートのその部屋に入っていった。

明らかに鍵を持っていて、自分で空けて入っていったのだ。

その男の写真を撮るためにカメラを構えた。

およそ30分くらしてその男はアパートから出ていった。

いったん署に戻って写真を確認して、データーベースに載っているかどうかを調べる。

「お前休暇だろう」

署の一階で上津に会ってしまった。

「ちょっと忘れ物をしたものですから」

「そうか、じゃあな」

上津は背を向けると署を出ていった。

往古はデスクに座り、パソコンの電源を入れた。

カードリーダーにSDカードを差込み写真の提示させる。

暗いので心配をしていたが、辛うじて顔が認識できる。

名古屋に本部のある組関係の奴らのデーターをまずスクロールする。

写真に写った男と酷似している男が見つかった。

名古屋の北部を本拠にする系列の組に所属する組員だった。

やはりあのマンションに黒後翼は匿われているという疑いは濃厚になった。

往古はもう引き返せない道をまっすぐに進んでいた。

ゆいへの思い。

それと少しだけ「警察官としての正義」が彼を突き動かしていた。

アパートのすぐ前の道路にクルマを停めてアパートの階段を上がる。

部屋の前に来た。中からは明かりが少しだけもれていた。誰かいる。

ノックをしようとしたときだった。

往古の真横から拳銃が発射された。

続けざまに三発。

一発の弾丸は往古の肩から首にかけて貫通して頚動脈を貫いた。

もう一発は腹に食い込み、内臓のなかに留まった。

最後の一発も腹を横断するように貫通させていた。

体が弾を受けた反動で横に吹っ飛び、廊下に叩きつけられた。




通報を受け、所轄の刑事たちが現場を検証した。

病院に運ばれた往古は手術中に息を引き取っていた。

そして、アパートから少し離れたマンションの駐車場には、手に拳銃を握ったままで飛び降り自殺した黒後翼の遺体が発見された。




事件一週間後、名古屋を本部とする組の若頭の事務所には上津刑事の姿があった。

「黒後というチンピラが往古刑事を、自分を殺しに来た殺し屋だと思って発砲したが、体を調べたら刑事だということが分かって、もう逃げ切れないと観念し、自殺したということで閉めましたので」

「お疲れさんやった。あんたには大きな借りが出来ましたな」

「それはいいんですけど、戦争は本格化するでしょうか。そうなると、こちらであまり派手なことは控えてくださいよ」

「まあ、向こうから来る前にうちのほうから攻めるようにしますんで」



その1週間後、名古屋に本部のある組と対立する関西の組の頂点に立つ組長が狙撃され殺された。

それを機会に、大阪では東海系、関西系入り乱れての大抗争が勃発し、多くの血が流され、逮捕者は100人を超えた。

名古屋を本部とする組の若頭は抗争を影で操ったが、逮捕は免れ、その名声はやくざの世界では頂点に達した。

組長は、引退し、若頭が新しい組長になった。




上津警部補は、一年後、愛知県警本部を去り、名古屋市北部の署の副所長に栄転した。







終わり。











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