ずっと、ずーっと

NHKスペシャル 樺太地上戦 終戦後七日間の悲劇








樺太、旧日本国領土。日露戦争後ロシアから日本が獲得した領土でした。

国策として、太平洋戦争末期まで40万人の日本人が暮らしていました。昭和20年8月、天皇陛下の玉音放送があり、日本は連合国に無条件降伏をし、日本軍は武装解除して進駐してくる連合国軍に投降することになっていました。

ところが、北海道の守りを担当する「札幌第五方面軍」の司令官は、樺太を北海道を守るための防波堤にしようと画策し、樺太の「陸軍第88師団」いわゆる樺太師団に「樺太を死守せよ」というとんでもない命令を出したのです。

その命令のせいで、多くの民間人が犠牲になりました。NHKの取材班は、当時樺太にいて、この悲惨な出来事を体験した人を探し出し貴重な証言を元に、番組を制作しました。

NHKがこの夏に放送した、戦争記録ドキュメントの一作ですが、とても貴重で後世に伝えるべき内容の濃い優れた番組になっていました。


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陸軍第88師団の師団参謀長の鈴木康は、北海道の司令部からの命令に戸惑いました。死守せよと命令されても、装備もない、兵隊の数も少ない、どうしたら樺太を侵攻してくるソ連軍から守るのか。
終戦に当たり、当時の陸軍には無条件降伏に納得できない人たちが数多くいました。陸軍の方針はあくまでも「本土決戦」で、一億総玉砕でした。つまり、日本人すべてが死ぬまで戦い抜くという思想です。当時の北海道の司令部も終戦に反対し、戦争を継続したいという空気が上層部にあったのでないかということは容易に想像できます。その空気が「樺太を死守せよ」という命令に繋がったのではないかと考えられます。


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樺太を死守せよという命令は終戦になった翌日に発令されました。そのために、樺太の陸軍は兵員不足、装備不足を補うために「国民義勇戦闘隊」を作り、現地住民を駆り出してソ連軍と戦わせることを決めました。戦う武器は主に竹槍と少ない手榴弾でした。戦車や戦闘機、機関銃に竹槍では勝負にならないことは分かっていても、命令を実行するためにはそれしか方法がなかったのでしょう。

侵攻してくるソ連軍から逃れるために多くの居留民は本土への引き上げ船が出る樺太南部にむけ移動をはじめました。

迫り来るソ連軍、幼い子供を持つ母親は逃げるのに足手まといになる子供を崖から突き落とす場面を見たという証言も放送されました。

真岡という町から、軍の本部がある豊岡に逃げる居留民の人たちも壮絶な悲劇が襲いました。

いよいよ、沖にいるソ連の軍艦からソ連兵が上陸するという間際、父親が家族全員を軍刀で切り殺し、自決するという一家心中が多発しました。その現場を見たという人の証言も放送されました。

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(一家心中した家族の写真)


有名な、真岡郵便局電話交換室の若い女性たちの集団服毒自殺も起きました。

そこには、「生きて虜囚の辱めを受けず」という教育が徹底されていたことが要因でしょう。


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(真岡郵便局電話交換室)

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(服毒自殺した少女たち)



陸軍はここでも住民を守るために出動はしませんでした。住民は自分たちで戦い死ぬか、戦わずして家族もろとも死ぬかの選択を迫られたのです。
軍は、豊岡に行くための峠に守備陣を置き、住民を守るためではなく、軍司令部を守るためにそこに布陣していただけなのです。


樺太では、4000人から5000人の民間人が犠牲になりました。

終戦したはずなのに「樺太を死守せよ」という命令を出した軍人たち。その責任は未だに追及されていません。

戦後72年もたつのにこの悲惨な事実をどれだけの日本人が知っているのだろうかとつくづく考えさせられる番組でした。






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