ずっと、ずーっと

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他人にもどろう











彼は持ってきた抹茶ラテを口にふくんでゆっくりと飲み込んだ。そして、思い切ったように言葉を出した。



「他人に戻ろう」



「古い言い草ね」



彼女は、その言葉を予感していたかのように落ち着いた表情だった。



もう彼女とやり直すことは出来ないと彼は思っていた。



だから今日言おうと思った。




「知り合う前に戻るだけだよ」




「つまりこれまでのおたがいの時間を無かったことにしようということでしょ」



「そういうことになるのかなあ」



「冷たい言い方ね」



「俺だってどう言おうか考えたんだよ」



「思慮が足りないってこういうことを言うのね」



「そういわれてはもう何も言えなくなっちゃうけど」



「はい、そうですかって、私が言うと思った?」



「いや、そうは思わなかった」



「じゃあ、なによ」



「おたがいにもう限界だったことは分かってたと思うけど」



「それはそうだけど」



「俺から一方的にって話じゃないだろ」



「それは分かるけど」



「確かに他人に戻ろうなんて古臭い言い回しだし、もともと俺たちは他人だし」



「そらりゃそうよ」



「あえて、そういうことしか頭に思いつかなかったんだよな」



「どうせ限界は限界なんだから、あなたがどう言おうと結果は同じことなのかもね」



「ごめんな」



彼は本当にすまなさそうな表情をしていた。








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Category: ショートショート
Published on: Wed,  13 2017 09:08
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